六君子湯
構成:人参 甘草 白朮 茯苓 半夏 陳皮 生姜 大棗
出展:和剤局方
【青葉流解釈】
★四君子湯から考える六君子湯
六君子湯を語る前に、四君子湯に触れましょう。薬味が4つだけ(人参、甘草、朮、茯苓)のシンプルな基本処方です。家で例えれば、柱だけが組み上がっただけの家と言った感じ。一般的にはこれをそのまま使うという事は実はあまりなく、基本的には他の処方と合わせて使います。使用法が割と難しいので。何が難しいかと言うと、慢性的な上部消化管症状などに用いることが多いのですが、四君子湯を飲むことによって症状が悪化することがあるからです。なので、四君子湯の錠剤を製造している製薬会社オースギは、ある意味凄いなと思います。古典を読みますと、四君子湯は「気虚の主方」と位置付けられております。「気虚」とは何か。怪しげな単語が出てきましたね。漢方には「気」「血」「水」という概念があり、「気」の異常もさらに3つに分類されるのですが、割愛します。ここでいう「気虚」とは、消化機能が低下している状態と考えて良いでしょう。実際に、非常に胃腸機能が弱っているときに四君子湯を飲むと、逆に気持ち悪くなり食欲がなくなってしまうケースも割と多いです。先ほども述べたように、そこが難しい所なのです。大昔も、きっとそうだったのでしょう。そこを解消するために陳皮を加えたものが作られました。これが異功散(和剤局方)という処方になります。最近は使ってませんが、以前は煎じ薬としてよく使ってました。これは異功散だなって感覚的にわかる時があるのですが、そのような場合はかなりの可能性で著効します。そして、四君子湯に陳皮と半夏を加えると六君子湯になります。成り立ちを考えますと、異功散に半夏を加えたというより、四君子湯と二陳湯の合剤です。四君子湯加陳皮半夏と命名されなかった所以でしょう。二陳湯は、胃に水が溜まっているような気持ち悪さなどに良く効きますので、四君子湯を飲んだ時に問題となる消化器症状が解消されるのです。自分も、四君子湯ベースで色々と試しました。試し尽くした言っていいかもしれません。そんな中でも、やはり四君子湯には二陳湯が非常に相性が良く、六君子湯は素晴らしい組み合わせだなと感じます。ちなみに、四君子湯は薬味が4つなので四君子湯、六君子湯は6つなので六君子湯です。生姜と大棗はカウントしません。多くの漢方に入っている「生姜+大棗」は単なる健胃作用ですので、その処方の主作用には影響しないことが多いです。
★六君子湯の使い方〜「食べられない=六君子湯」「だるい=補中益気湯」〜
実際、六君子湯を使うときに、四君子湯と迷うことはほぼないです。むしろ、補中益気湯と迷う事はありますね。その両者の使い分けとして、「だるい」が前面に出れば補中益気湯、「食べられない」が前面に出れな六君子湯としてます。
六君子湯、世間一般的には胃薬です。自分の中ではもっと範囲が広くて、もちろん胃の症状にも効きますが、効果は多岐にわたります。簡単に言えば、弱っていて食欲がない人にはその原因が何であろうとだいたい効きます。頭痛だろうが咳だろうが。なので、自分の処方では、何か他の薬+六君子湯という組み合わせが多いと思います。それこそ補中益気湯のような参耆剤のような使い方ですね。
小児喘息の体質改善目的でもたくさん使いました。意味合いとしては、半夏の鎮咳去痰作用を陳皮、茯苓、生姜が補うと言った感じでしょう。同じような症例で補中益気湯も使いましたが、六君子湯の方が良かったです。
★やたらと六君子湯が推されるワケ
一時期、キャンペーン的に大々的に推されてました。抗がん剤とかで食欲がない症例とか、不定愁訴的な胃症状とかに六君子湯を使いましょう、みたいな。もちろん非常にいい薬なので別にいいのですが、医学的にコメントを加えますと、ポイントは茯苓と白朮だと思います。いわゆる利水剤が配合されているということ。そしてそのバランスがとてもいいので、簡単に言うと浮腫が出にくいのです。だから、誰でも使いやすいのです。
★結論
「食欲無ければ六君子湯」